2011年06月18日

Lone Pine, CA より

IMG00147.jpgIMG00155.jpgIMG00156.jpgIMG00159.jpgIMG00161.jpgIMG00164.jpg
最後は噂どおりの暑さに苦しんだ砂漠地帯を抜け、いよいよシエラの領域に入り、歩いた距離は1000kmを超えました。(ONLY 3000 more km
to go !!)

すっかり見なくなったトカゲやヘビ、植生は...何となく変わってきたような、変わらないような。シエラに入り一番の違いは水。これまでは5リットルも6リットルも担いでいたけれど、今は1リットルあれば雪解け水がそこらじゅうから流れているので十分です。牛などの糞尿が沢水に混ざっている心配もないので浄水もせずそのまま飲んでいます。(一番の理由はいちいち浄水するのが面倒臭いからですが)
水の分荷物は軽くなりましたが、今度は食料の補給間隔が長くなり熊対策のベア・キャニスター(熊缶)の使用が義務付けられているので荷物の重さは結局あまり変わりません。ベア・キャニスターとは頑丈なプラスチックでできた容器で、その中に食料やリップクリームや歯磨き粉など匂いのある物を入れて就寝時にはテントから離れた場所に置いておきます。それによって熊から身を守り、また熊に人間が食料を持っていること覚えさせない為です。ちなみに2年前のアパラチアン・トレイルでは食料袋を木に吊るして熊対策をしていましたが、こちらは太い枝のある広葉樹がほとんどなく針葉樹の枝は頼りないのでベア・キャニスターを使います。

シエラに入る前は不安80%・楽しみ20%でしたが、今は興奮100%でアドレナリンが漏れ出しています。坂を登りきり、新しい景色が目の前に現れるたびに一人でニヤニヤしてしまいます。気持ちがのっている分、足が軽くなりガシガシ進んでいきます。ただ、体がついてこないのに気持ちが先走りして怪我や事故にならないように自分に言い聞かせてもいます。

なんだかここにきて、人に聞かれたり自分自身でも何度も問いかけている「なぜ、こんな長い距離を歩きたいのか?」という疑問に少しだけ答えられるようになりました。
上手く理解してもらえるかわかりませんが、乗り物に頼らず自分の力だけで歩くスピードで流れて行く景色を見るのにちょうど良いからです。遠くに見える大きな景色は歩くスピードでも意外に早く変化して行きます。乗り物ではその変化が速すぎて感動する暇もありません。足元には胡麻みたいに小さな花が咲き、色んな生き物の生活を見られます。また、熊の糞が落ちていればその夜はテントに食料を持ち込まないなど危険から身を守るヒントを与えてくれます。歩きでしか見えない色、聞けない音、嗅げない匂いと臭い...動力に頼らない分だけ自分の処理能力に合った感動や情報や景色が五感を刺激してくれます。もちろん一番の理由は歩いた後のビール&ピザが最高に旨いからですが。

今はローンパインという小さな町に下りてきました。シエラ・ネバダの東側を縦断するハイウェイ395号線の宿場町といった感じで、郊外はたくさんのウェスタン映画のロケ地にも使われているようです。また、アラスカとハワイを抜いた48州の最高峰Mt. Whitney(4421m)の登山口にもなっています。そろそろ夏本番。小さな町ですがPCTハイカーの他にも、マウンテンバイクやカヤックを積んだ車、数日間のバックパッキングに行くハイカーやアングラーなどアウトドア・スポーツを楽しむ人たちのベースになっています。

明日はトレイルに戻り天候次第ではPCTをそれてMt.
Whitney登頂を考えています。そこから先はいよいよ3000~4000mの峠越えが連発するシエラの核心部。ジョン・ミューア・トレイルとも合流しアンビリバボーな景色が待っています。


ps シエラに一人たたずむと、聞こえてくるのは鳥の鳴き声・風の通る音・体臭にたかるハエの羽音たけの贅沢な時間です。
posted by MIJ at 18:18| Comment(7) | Pacific Crest Trail 中継 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年07月02日

Mammoth Lakes, CA より

IMG00180.jpgIMG00182.jpgIMG00193.jpgIMG00197.jpgIMG00200.jpgIMG00201.jpg


お久しぶりです。生きてますのでご安心ください。
雪でなかなか思うように進めず、毎日食料の残量を気にしながらマンモス・レイクスというスキーリゾートの町まで下りてきました。

トレイルはPASSと呼ばれる3000-4000m級の山の谷間になっている部分を越えては下りを繰り返します。そんなPASSは雪がなければスイッチバックで簡単に越えられるように整備されていますが、雪で完全に本来のルートが隠れているので45度くらいの傾斜(実際にはほとんど垂直に見える)の雪の壁をアイスアックスを使って慎重に上って行きます。ボケーと歩いていると100mくらい簡単に滑落できるのでなかなか緊張感があります。

アラスカとハワイを抜いたアメリカ本土の最高峰Mt.Whitneyにもちょこっと寄り道して登ってきました。雲ひとつない晴天だったので、周りの山々が白波の様に続く景色に「Oh my god!」が止まりません。残念なのは写真ではその絶景の10%も写らないことです。

記録的な積雪量だった今年のシエラネバダ山脈にはまだまだたくさんの雪が残っていて、トレイルは雪の下に隠れているので前を行くハイカー足跡を見失うと3時間ほど雪山で迷子になり、山の反対側に出てしまいます。
晴天が続き雪解けがピークの今、腰まで増水した川を渉るのは命懸けで、無事に向こう岸に着いてもしばらく足の感覚を失うほど水は冷たいです。
午後になると雪が柔らかくなり、足の付け根まで埋まるほど雪を踏みぬいてしまうことがあります。両足が穴にはまるとなかなか抜け出せず、下り坂で勢いがついているときは足が折れそうになったり、雪に隠れて岩があると脛から血が出ます。
チャックが乾燥機で熔けてしまったので新しい短パンを買ったものの、前のものより丈が15cmほど短かったので、今までまったく日焼けしていなかった箇所に標高4000mの刺激的な紫外線を浴びて両膝の上の皮膚が帯状にベロベロに剥けてしまいました。見た全員がしかめっ面をするその傷口に枝なんかが引っ掛かると失神しそうになります。砂漠で充分焦げたはずの顔も雪の反射もあり脱皮を繰り返しています。

毎日、小さなトラブルや怪我はありますが元気に歩いています。疲れが溜まっているのと、腿の皮膚を太陽にさらさないように3日この町で休息します。今週末はちょうど独立記念日なので町は賑わっています。


posted by MIJ at 17:48| Comment(3) | Pacific Crest Trail 中継 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年07月08日

Lee Vining, CA より

IMG00208.jpgIMG00210.jpgIMG00213.jpg
ちょっとハプニングがありまして、全く予定になかったリーバイニングという町に下りてきました。

トレイルは日本でも有名なヨセミテ国立公園に入りました。トレイルと公園内のハイウェイが交差する所にある店で向こう8日分の食料調達を考えていたら、雪でハイウェイの開通が遅れたせいかまだ閉まっていました。近くの宿泊施設の売店に何かないかと行ってみたらこちらもまだオープン前...。約150km先で町に繋がる道と交差するけれど、そこまでギリギリもつかもたないかの食料。アルコールストーブようの燃料の残量も怪しい。

さてさて、どうしようかと。ヨセミテ国立公園の中心地までバスで行けば食料が売っている店もある...、けれどバスは一日一便で売店を探しているうちに行ってしまい。丸一日ボケェと過ごして明日のバスを待つのも何なので、反対側の公園の外にある町まで約50kmをヒッチハイクすることにしました。でも、国立公園でのヒッチハイクはかなりタフでして。トレイル沿いの田舎町とは違い、大体は高そうな車に乗った観光客でハイカーは相手にしてくれません。相手にしてくれないというよりも、PCTハイカーの存在を知らないので汚い格好の変人が立っているようにしか見えないようです。長期戦になることを覚悟してできる限り爽やかな立ち姿でお馴染みの親指を立てたサインを出してると20台目くらいで停まってくれました。ラッキーなことにヨセミテのビジターセンターで働くクライマーで、PCTのこともよく知っている人でした。彼は夏はヨセミテでクライミングをしながら働いて、冬は旅にでるという生活をもう7年も続けているそうです。

予定が狂って完全に歩く気持ちが萎えてしまったのと、思わぬハプニングも何かの縁ということで、今夜は町でゆっくりして朝のバスでトレイルに戻ることにしました。全てが予定通りに行くことほどつまらないこともないし。また1つ思い出が増えて良かったです。
posted by MIJ at 13:06| Comment(4) | Pacific Crest Trail 中継 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする